今までお話ししてきたOJTは、すべて縦のOJTです。上司が部下に、仕事をつくり、やる気をつくり、サポートし、やり切らせ、達成感を感じさせるなかで、部下を育てていきます。
今、その縦のOJTから、横のOJTに変わりつつあるという話を聞きました。
縦のOJTでは、上司に対して、あるいは組織に対して、部下が競い合うことがやる気をつくるうえで、重要な要素の一つになっています。
ライバルより高い売り上げをあげてやろう!ライバルより高い評価を勝ち取り、早く昇格しよう!そんな気持ちです。
ところが、最近の若い世代は、この競い合う気持ちが弱くなっているそうです。
みんな、誰でも一度は自分がいじめられたり、いじめられる人を見たり、いじめの経験があります。目立つといじめられる。そう思っているため、競い合って目立つのを避けようとするらしいのです。
結果、縦で競い合わせるOJTがなかなか機能しづらくなっているそうです。
では、誰がどうやってOJTをやるのか?もちろん、上司がいい仕事をさせて育てるという基本の流れは変わりませんが、本人のやる気づくりやフォローにおける上司の関わり方が今までとは異なります。
上司はチームに仕事を付与し、チャレンジさせて、あとは、チームメンバー同士がはげましあい、助け合うのを見守ります。実際に、メンバーを指導するのは、チームのなかの優秀な人です。仲間が仲間を助け、育てる。だから、横のOJTです。

例えば、塾の教室の成績の良しあしは何で決まるのか?同じ学力の生徒を同じ先生が同じように教えても、クラスによって成績の向上に大きな格差が生まれるそうです。
その差は、クラスがいじめのあるクラスか、助け合うクラスかで生まれるといいます。
では、上司はどうやったら助け合う環境をつくれるのでしょう?
まず大事なことは、縦でも横でも同じ。一人ひとりを深く知ること。そのうえで、チームとしての規律を徹底し、一体感をつくることが大事なんだそうです。
この話を聞いた時、僕は少し不思議に思いました。規律を徹底するというのは、縦の力を強くすることのように感じたからです。なぜ、規律を強めることが一体感をうみ、助け合う風土をつくることになるのか?
それで、考えてみました。
規律を徹底するということが、見守ってもらえているという安心感と誰にでも同じように接してくれているという公平感をつくる。安心感と公平感があると、一人一人が安心して助け合うようになる。
競い合っている人がライバルにうまくいくコツや秘密を教えるのは嫌なものです。でも、教えている様子がちゃんと見られていて、それをちゃんと評価してもらえるとわかっていれば、その人は安心して教えることができます。
日本が右肩上がりで成長を続けていた時代、何を信じればいいのか、何を頑張ればいいのかがはっきりしていました。国全体が良くなっていたから、一生懸命に働ければ、仮に競争に負けても、ちゃんとお給料は増えるし、よくなることはできました。だから、理不尽な厳しさにもついていけた。
今はそういうわけにはいきません。国や社会全体がよくならないのであれば、少なくとも、自分たちで、自分たちはよくなっていく術を見つけ、そのことを仲間同士が信じることができて、頑張ることのできるカタチをつくる必要があります。つまり、今までは国が果たしてくれていた役割を、会社や上司が果たさなくてはいけない。
それが横のOJTにおける上司の役割。
夢を語り、みんなでその夢を信じあい、国が治安を守るように、チームの規律を徹底し、一人一人が安心して頑張れる環境をつくる
それが、将来どうなるかわからない時代、自動車産業の100年に一度の大転換期と言われる時代のOJTなんだと思います。
必ず学べることはある
学んだことは次の人にわたす
Everything is beautiful, nothing hurt